最近プレミアムフライデーという言葉が注目を集めている。
これは月末の金曜日の早めの時間に退社を促して、
消費を増やすことによって経済を活発化しようという取り組みである。
そんなプレミアムフライデーだが、実施にあたって様々な意見が出ており、
「あまり効果が無いのでは」と制度そのものに疑問を投げかける声や
実施企業は実際に限られた数で公務員くらいしか恩恵を受けられないなどと言った声も見受けられる。
一見、社会人にとっては良い制度のように聞こえるが、
そもそもカレンダー通りではないサービス業や
多くの人が利用する役所、決められた授業数や部活がある学校などはどうなるのだろうか。
これらについてまとめてみた。
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プレミアムフライデーとは
まず、プレミアムフライデーとはどんな制度なのかについて改めて説明させていただくと、
月末の金曜日をプレミアムフライデーと設定し、
15時に退社を促すことで自由な時間が増え、
こうした時間に消費が増えることによって経済を活性化させることを狙った取り組みのことを言う。
さらに消費を拡大させるだけではなく、働き方を変えると言った狙いもあり、
最近は膨大な時間外労働を強いらせ、その分に見合った給料を支払わない
ブラック労働が問題となっているが、こうした問題を解決する狙いもあるようだ。
プレミアムフライデーはいつから開始される?
そこで気になるのはプレミアムフライデーがいつから開始されるのかについてだが、
2017年2月24日から開始されることが発表されており、
2月24日以降も毎月月末の金曜日に実施される。
プレミアムフライデーを実施する実施企業一覧は?
では、このプレミアムフライデーを実施すると発表している企業はあるのだろうか。
調べてみたが、特に実施すると発表している企業を探してみたところ、
確認できたのは
・日本テクノ株式会社
・大和ハウス工業
・住友商事
の3社のみ。(2月6日時点)
しかし、経済産業省のホームページに
「プレミアムフライデー推進協議会名簿」というものが公開されており、
以下の団体がプレミアムフライデーを推進していることがわかる。
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会
全国商工会連合会
日本チェーンストア協会
一般社団法人日本経済団体連合会
一般社団法人日本スーパーマーケット協会
一般社団法人日本旅行業協会
日本商工会議所
日本百貨店協会
一般社団法人新日本スーパーマーケット協会
日本小売業協会
一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会
一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会
経済産業省流通政策課
一般社団法人日本ショッピングセンター協会
一般社団法人日本専門店協会
全国商店街振興組合連合会
しかし、この名前を見てもらえればわかる通り、
スーパーマーケットや旅行、アパレルなどの名前が並んでいることから、
これはプレミアムフライデーを実施するというよりは、プレミアムフライデーによって
消費をしてもらおうと考えている団体ばかりだということがわかる。
ただ、上記の中にある「一般社団法人日本経済団体連合会」は
トヨタや日産、富士通なども加入している団体であるため、
こうした企業はプレミアムフライデーが実施される可能性が高いと言える。
プレミアムフライデーの実施はサービス業にとっては悲鳴?
プレミアムフライデーのホームページを見ると
プレミアムフライデーに企業が実施する様々なサービスの内容を見ることができる。
例えば京都ホテルでは追加料金を支払うことでシャンパンを好きなだけ飲むことができたり、
株式会社エイチ・アイ・エスや日本航空株式会社では
プレミアムフライデーに合わせた旅行商品を打ち出している。
もちろん、これによって業績が伸びれば会社にとってはプラスかもしれないが、
従業員にとっては自由な時間が奪われることになるため、
サービス業はプレミアムフライデーの恩恵を受けられないこととなる。
ただし、別日でプレミアムフライデーを設ける企業や
プレミアムフライデーによって業績が良くなった分、
給料に還元するなどと言った可能性もあるため、
一概にサービス業の従業員に恩恵がないとは言えない。
プレミアムフライデー導入を予定する企業はたった数%?
旅行サービスのDeNAトラベルが行なったプレミアムフライデー導入に関する調査結果によると、
「勤め先はプレミアムフライデーを導入予定ですか?」という問いに対し、
導入済み→0.8%
導入予定→1.4%
検討中→3.3%
導入予定ではない→55.0%
分からない→39.5%
※509人
という結果が出ており、導入済みや導入予定、
または検討中を含めても10%もいかないことがわかる。
プレミアムフライデーは結局公務員と大企業のみが恩恵を受けられる?
金曜日の15時に退社をするということは、
今までこなしていた仕事がどこかでしわ寄せが来るということである。
残業が当たり前となっている現在、こうした取り組みが実際にできるのは
結局、大企業か公務員など一部の人間に絞られるとの見方が出ている。
実際にどうなるのかは不明だが、最初の実施日である2月24日は
他の企業が実施するのかをまず様子見する企業がほとんどで、
それ以降、メディアなどで注目されることで大企業や公務員が
徐々に増え出すのではないかと個人的に予想している。
公務員でも役所や学校の教員は現実的に困難か
また、公務員と言っても役所に勤めている方や学校の教員などが
プレミアムフライデーを実施するというのは現実的に困難だろう。
役所は大半が平日の17時〜17時半くらいまでだが、
この時間帯でも営業時間が短いと疑問視する声が多いのが現状なので、
その声を無視して営業時間をさらに短くするというのは現実的に不可能だろう。
学校の教員も決められた授業数があることや、
放課後の部活動の指導なども考えると現実的ではないため、
これらの職業がプレミアムフライデーの恩恵を受けるのは厳しいと思われる。
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プレミアムフライデーは結果的に良い効果をもたらすのか
2月24日から実施されることが決定しているプレミアムフライデーだが、
果たしてこれは良い効果をもたらすのだろうか。
実際、現在の経済の状況はそこまで改善しているわけでもなく、
サラリーマンの平均のお小遣いは月に4万円ほどというデータもあり、
これは数年前よりも2万円近くも減っているという。
さらに、給料もあまり上がっていないのも現状なので、
プレミアムフライデーの日には消費が激しくなると思われるが、
そうなると、プレミアムフライデーに向けてお金を貯めることも予想されるため、
その分、他の日に消費しなくなる可能性も十分考えられる。
そのため、結果的に経済が活発になったとは言えなくなり、
結局はプレミアムフライデー実施前と比べても経済効果はあまり変わらないのではないだろうか。
また、先ほどにもご紹介した通り、
プレミアムフライデーはサービス業に勤める方にとっては忙しくなるため、
その分の奪われた自由な時間が消費に悪影響を及ぼすことも考えられる。
さらに、労働環境に関しては15時退社を義務付けられたことで
他の日にしわ寄せが来ることで、その分の消費が無くなる可能性や
仕事が終わらず、土曜日に出勤する可能性も出てくる。
特に中小企業では土曜日出勤している企業も決して珍しくないため、
そもそもプレミアムフライデーとは無縁で、
さらに大企業との格差を感じてしまう恐れもあるため、
個人的にはデメリットの方が強く感じるのだが、
実際にどうなるのか、まずは最初の実施日の2月24日を注目していきたい。
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